2007年12月04日
銀がヨーロッパの世界制覇をもたらした
――現在の進んだヨーロッパと遅れたアジア・アフリカという近・現代世界史の構造ができあがったのいつ頃のことだろう。
この疑問を解く鍵に『銀』の存在は欠くことは出来ない。

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話は、大航海時代まで遡る。
大航海時代にアメリカ大陸に進出したスペインは、そのころ栄えていたアステカ・インカ両帝国を征服してその地を領有した。その後、スペインは、ポルトガル領のブラジルを除く中南米の広大な部分を獲得して、メキシコ・ペルーなどで原住民のインディオを酷使して大量の金・銀を採掘した。そのため、インディオの死亡率は高く、一六世紀なかごろには、キューバ島やジャマイカ島のインディオはほぼ全滅し、その他の地域でもインディオ人口は激減した。スペインは、不足した労働力を補うためにアフリカの黒人を大量に運ぴ込んで苛酷な奴隷労働を強いた。ペルー高原のポトシ銀山は、一五四五年から五〇年間に四億ドルの銀を産出して繁栄を誇ったが、その繁栄をささえたのが彼らの悲惨な労働であった。
こうして獲得した豊富な銀・金は、スペインに運び出された。一五二一年から一六六〇年までのスペインヘの流入量は、公的なものだけでも銀一万八○○○トン、金二〇〇トンに達した。金よりも銀が圧倒的に多かったので、これを運ぶスペイン船は「銀船隊」とよばれた。イギリスの女王エリザベス一世は、フランシス=ドレークやホーキンズらの率いる海賊に、これら銀船隊を襲わせて、その富を奪った話は有名である。
安価な大量の銀・金が流入したため、ヨーロッパの貨幣価値は一挙に三分の一にまで下落し、物価を高騰させた。これがいわゆる価格革命(Price Revorution)である。このインフレ効果でヨーロッパの商工業は活況を呈し、インフレによる地代の相対的低減は、農民の地位を向上させ、ヨーロッパの経済・社会は大きく変動していった。
原住民インディオの強制労働とアフリカより連れてこられた黒人らの奴隷労働を踏み台にして生産された安価な銀・金によってヨーロツパは富裕になった。コロンブスも「貧乏なスペインが世界一の富裕国になった」といっている。スペインだけでなく、ヨーロッパ全体がなんらかの形でこの恩恵にあずかり豊かになった。また、この時期から始まった奴隷貿易は、その後数百年間にわたって行われ、ヨーロッパに莫大な富をもたらした。
このようにして蓄積された富のうえに、ヨーロッパの産業資本主義が確立され、彼らによる世界制覇が推し進められ、現在にいたる進んだヨーロッパと遅れたアジア・アフリカという近・現代世界史の構造ができあがっていったのである。まさに銀がヨーロッパの世界制覇をもたらしたといっても過言ではないであろう。
参考HP:『物が語る世界の歴史』
投稿者 hi-ro : 2007年12月04日 22:48 Tweet
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コメント
なるほど。銀の流入でヨーロッパが活気づいたのですね。
「価格革命」って、なんだか安くなるイメージをもっちゃいますが(^^;、それとは違うのですね。
大航海は世界規模で経済が影響を与え合うようになった転機でもあるのでしょうか。
(グローバル化=搾取?の始まりなのかなぁ。。。)
投稿者 みつこ : 2007年12月06日 04:00
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